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執筆者の写真Shinyong the Chameleon

夫婦で8家系の家系図を作りました

更新日:12月9日

日本の行政書士さんに依頼して約半年ほどかけて家系図作成を行いました。

費用は作成費やアメリカへの配送費などを込みで50万円ほどでした。


旦那さんには二人の子供がいますが、日本語の読み書きができるわけではなく、私も子供に恵まれませんでしたから、後世に残していくというより自分たちのやるべき仕事の一つとして作成しました。

特に旦那さんは父方母方の祖母の旧姓を知らなかったもので、それが分かったのも意義深かったですし、家系図作成を決めた時は

「これで立派な先祖供養もできる!」と大変満足していたのです。


依頼した行政書士さんは奈良の方で、とても丁寧に対応してくださりました。

非常に先祖へ対する敬愛の深い方のようにお見受けしました。

家系図は調査した戸籍を最終的にファイリングして渡してくださいますし、豪華絢爛な素晴らしい和紙で綴られて、桐箱に入れていただきました。

先祖を遡ったのは8家系を平均して、江戸末期くらいまでです。

戸籍を調査して分かったことですが、行政が古い戸籍を削除することもあり、家系図を調べたくても今後どこまで遡れるかは不明確な部分もあります。


ただ正直に言うと、たった江戸末期まで「しか」遡れない印象でした。

江戸末期から今の私たちの世代まで、結構あっという間に見えてしまったのが、率直な感想でした。

しかも、戦争などの理由で消失してしまっている場合もあります。


我が家は結構これでも遡っている方らしいのです。

でも、なんだか少し物足りないのは、幼い頃より先祖供養などを通して、会った事もないもっと遥か昔の先祖にも想いを馳せていたので、可視化した時に江戸末期まで「しか」見えないことを残念に思ってしまったのかもしれません。

日本人は先祖や親戚の繋がりを大事に思う一方で、国のシステムとしては実際問題、先祖の情報を十分に残せていないのが現状のようです。


ところが、家系図作成を依頼して、2ヶ月くらいで調査進捗を見せてくださるのですが、それを見た瞬間、一気に冷めてしまったのです。

伝え聞いていたのとはどうやら様子が違う、と言うものもあります。

また、知らなかった事実も浮かび上がってきます。

理由はわからないのですが、古い戸籍の先祖の名前を見た途端何かが「違う」と思ってしまったのです。

何が違うのかはわかりません。

当たり前なのですが、大いなる尊敬してきた先祖とは違い、生身の一人の人間に見えたのかもしれません。


この違和感、伝わるでしょうか?


小さい頃から供養や祈りを通して、命を繋いできた先祖をもはや神格化して捉えていたのかもしれません。

ところがお名前を拝見し、より具体的な一人の人間を強く感じて、現実に引き戻されたというか…。

魂ではなく肉体を感じ、「スン」って冷静になってしまったのです。


もう一つ理由として考えられるのは、紙面上に書かれている先祖ではとにかく物足りなかったのです。

知りたい情報が不十分でした。

行政書士さんが悪いのではなく、私の中で何かが不十分なのです。

もちろん直系のみで傍系は調査できない(別途、委任状が必要)ので、例えば私から見て従兄弟たちの名前は書いてありません。

そのせいもあるのか、なんだか胸に空っ風が吹いたみたいになってしまいました。


それは、大変な事ですよ。

だって50万円も払ってるのだから!(笑)

口が裂けても旦那さんに話せませんよ!

それなのに、興味関心を失うどころか、もう見たくないなんて気持ちにすらなってしまったのです。

罰当たりもはなはだしいでしょう?

そうです。

ですからその後、私は自分自身を罪悪感たっぷりで抱えることになりました。


それから数ヶ月経ち完成する頃、当初のテンションと違うことに、旦那さんも薄々気づいていたようで、私は正直に気持ちを伝えました。

あくまで私の心に寄り添った上で、それでも命を繋いできた大事なご先祖さまたちだよ?と優しく諭してくれました。

その理解の深さに恥ずかしいやら、申し訳ないやら。

自分がとても情けなかったです。

ところがその瞬間、謎の不十分の意味がわかったのです!


確かに直系のご先祖様たちだけで、傍系が記載されていないだけではなく、このご先祖様たちが生きてきた上で、お世話になった人や大切にしてきた人たちがこの家系図に全て書かれているわけではないからでした。

ー もしかしたらこのご先祖を食べさせてくれたのは、本当の親ではなく、近所のおばさんだったかもしれない。

ー もしかしたらこの先祖が愛したのは、記載されていた配偶者ではなく別の人だったかもしれない。

そのような様々なリアルな人間関係が、私の第六感に訴えかけてきたのでしょうか。

ブワッと風が吹いて、この家系図に書かれていない人間模様があるのだと気づきました。


私ですら、私の人生に影響を与えた友人や先生方を家系図に書くことはできません。

人の一生は命の繋がりだけでは語れない。

もっとたくさんのいろんな縁で生きてきたんだよと、ご先祖様たちが語りかけてくれたのかもしれません。

魂の繋がりはもっといっぱいあるんだよ、と。

血のつながりだけではないたくさんの人に支えられて、今のあなたはいるんだよ、と。

家系図を作成してから、初めて涙が出るほど感謝しました。

このことに気がついたので、また再び、ご先祖への感謝の気持ちがわきあがってまいりました。


さて、実際に遠いアメリカまで家系図が手元に届きました。

その時にメッセージを受け取りました。

「先祖血統は過去と未来を繋ぐもの。友人など共に大切に生きる存在は現在を繋ぐもの。」


感無量です。

もう少し自分の中に落とし込んだら、改めて先祖供養をしたいと考えています。


旦那さんの由緒書きも素晴らしいのですが、私の方の家系図の由緒書きに書いた文章を最後にご紹介したいと思います。


・・・この度、夫の協力を得て、双方8家系の系譜を可能な限り明らかにいたします。

心から感謝し、妻として誇りに思います。

ご縁で出会い育み、繋いできた命の奇跡に感動せざるを得ません。


この家系図を見る後世の人々に、自分も、周りの人々も慈しむ大切さを伝えたい。

人は一人では生きていけないことは、この家系図で明らかです。

お互いを思いやり、命いっぱい生きていきましょう。


全てのご先祖様に、そして家系図には書かれていない、先祖がお世話になった全ての人に感謝の意を込めて


令和6年10月吉日 

アメリカ合衆国・ミシガン州にて愛する夫と共に

Shinyong the Chameleon

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